つぼみ

厳しい冬の寒さを乗り越えて、今まさに、桜の蕾はほころびを始めているよ。

散って尚、再び花開く、強くて可憐な、喜びの花。

薄いピンクの花の淡い香りが、街中に漂いだす頃にはきっと、和やかに微笑むような風が吹いて、心をそっとほぐしてくれるよ。

けわしい顔をして、悲しい顔をして、ふさぎこんでるその横顔にも、同じように桜の花はささやきかけるよ。

生まれたての少女のような、優しく甘い声で、あたたかい春の訪れと勇気を、君に告げるよ。



今はまだ、どんな言葉も嘘臭くて、思いがけなく傷つけてしまいそうで、何を言ったらいいのかわらないけれど、静寂の中で寄り添い合える何かがあればいいなって思う。